
リアンプとは、おもにギター録音/ミックス時に使われる手法の1つで、90年代後半以降多用されるようになったと記憶しています。
録音時にエフェクトなし(ドライ)で録音しつつ、モニタリングはエフェクトあり(ウェット)で行うというもの。録音後にあらためてサウンドメイキングできることが最大のメリットです。また、演奏時に聴こえる音は結果の出来にかかわるので、エフェクトありのモニタリングも非常に重要です。
レコーディングスタジオでは、ドライで録音したサウンドをギターアンプに出力、その音をマイク収録するというのが基本。一方、BR-800では、ギター・アンプ・シミュレーターが内蔵されているので、面倒なマイクセッティングや配線なしで気楽に試せるのがメリットです。
BR-800では、インサート・エフェクトの設定で「INPUT <REC DRY>」を選択することで、ドライ音のみを録音、モニタリングはウェットというのが可能になります。
設定については、インサート・エフェクトの「接続位置を変える(LOCATION)」も参照してください。
録音時は「INPUT <REC DRY> 」、ミックス時のサウンドメイキングには「TRACK 1~8」(録音したトラックを選択)を選択することになります。
パソコンのDAWに録音した音にBR-800のエフェクトをかけることも可能です。DAWとBR-800によるリアンプが可能という言い方もできると思います。
手順としては、パソコンのDAWからの再生音にBR-800内蔵エフェクトをかけて、DAW側に録音し直すという形になります。
当然ながら、パソコンにASIOドライバ(Windowsの場合)が導入されていることが前提条件となります。付属ディスクからインストールしておきましょう(ちなみに、ASIO4ALLを使ってはいけません)。
パソコンとの接続、DAWの入出力デバイスの設定が完了していれば、BR-800側で何もしなくてもDAWの再生音がBR-800から出力されるはずです(ヘッドフォンまたはライン出力経由で接続したスピーカーなどから)。これもBR-800の便利なところです。
さて、この状態ではBR-800のエフェクトを再生音にかけることはできません。ここから各種設定を行うことになります。
設定のポイントは、以下のとおり。
以下、順番にチェックしていきましょう。
USBのSETTINGに関してはおそらく、初期状態のままでOK、いじるところはないはずです。
音量などの設定が必要であれば、ほかの項目も変更します。とりあえずはそのままで進めてかまわないと思います。
以下では、エフェクトをかけたいトラックを再生トラック、リアンプした結果を録音トラックとします。再生トラックは当然ながら録音済みであるとします。リアンプしたいトラック以外はミュートにしてください(録音トラックはミュートしなくていいです)。
また、急に大きな音が出るとびっくりするので、BR-800本体の「REC LEVEL」は絞っておきましょう。なお、この時、BR-800側のトランスポート(再生や停止のコントロール)はまったく使いません(念のため)。
では、DAW側に操作を移します。ここでは各機能の名称などはSONAR 8.5に従うこととします。また、実際に作業する際は、手順を最後まで読んでから行ってください。
ポイントはインプットモニターをOFFにすること。これがONだと信号がループして大音量が出る場合があります。スピーカーなどを壊す恐れもあるので注意が必要です。スピーカーやヘッドフォンの音量を小さい状態で始めるのが安全でしょう。ハウリングのような状態になったらすぐに再生を止めて、設定を見直してください。
また、録音トラックの再生、確認時には、BR-800のINPUTを「USB」以外のものすることも忘れずに(再生音にさらにエフェクトがかかってしまう)。加えて、再生トラックはミュートしないと音が重なって確認どころではありません(念のため)。
さて、実際試してみるとけっこう面倒という気がしないでもないです。
なんて声が一部から聞こえてきそうです。
でも、
みたいな人には非常に有用かと思われます。
また、こうした自由度があるハードウェアは意外と少ないのも事実。なんといってもUSBケーブル1本で済む、配線なし、というのが便利です。一度はお試しあれ。