====== インサート・エフェクト ====== 基本的には、録音時に使用するものと考えたほうがベター。ギターの録音時に歪みを加えるといった使い方が一般的。「かけ録り用」といったところでしょうか。 一方、録音時だけでなく、各トラックをミキシングした音に対して使用することも可能。録音時はエフェクトなしで録音しておいて、ミックス時にエフェクトの設定を細かく調整するといったこともできます。 とはいえ、一度に使えるのは1つのみなので、同時に2つ以上のトラックに適用することはできません。 複数のトラックに適用したい場合はバウンス(ピンポン録音)などを駆使することになるでしょう。これはけっこう面倒です。いっそのことパソコンのDAWソフトを使うのが手っ取り早いと思います。BR-800にはCakewalk SONAR 8.5 LEが付属しています(ただし、Windowsのみ)。 ===== パッチとバンク ===== BR-800には、ボーカルやさまざまな楽器に対応したエフェクト・パッチがあらかじめ用意されています。 ==== バンクの種類 ==== エフェクト・パッチは6つに分類されており、この分類は「バンク」と呼ばれています。バンクは以下のとおり。 - GUITAR - MICROPHONE - LINE - SIMUL - 4INPUT - 8TRACK COMP 各バンクで選べるアルゴリズムは、マニュアル p.59を参照のこと。 以下には概要のみ掲載します。 ** GUITAR ** E.GUITAR MULTI, ACOUSTIC SIM, GUITAR TO BASS, A.GUITAR MULTI, BASS MULTI \\ エレキギター、エレアコ用、ベース用が揃っています。エレキギターでアコースティックギターやベースをシミュレートするものも用意されています。 ** MICROPHONE ** VOCAL MULTI, MIC MULTI \\ マイク用のマルチ・エフェクト。ボーカル用と楽器用を用意。 ** LINE ** STEREO MULTI \\ 1種類のみ。完全ステレオ仕様の7種類のエフェクトを直接に接続したアルゴリズム。7種類の内訳は、コンプ/リミッター、Lo-fi、EQ、ノイズ・サプレッサー、モジュレーション、コーラス、ディレイ。 ** SIMUL ** VO+GT.AMP, VO+AC.SIM, VO+ACOUSTIC \\ ボーカルとギター、2つのソースを同時録音する場合のアルゴリズム。ギターは3種類、いずれもライン用で、それぞれ、エレキギター、エレキギター(アコースティックギターのシミュレーション)、エレクトリック・アコースティック・ギター。 ** 4INPUT ** 4-INPUT MULTI \\ 4チャンネルマイク録音用。それぞれのチャンネルにローカット、コンプ/リミッター、EQ、ノイズ・サプレッサーが直列接続されています。 ** 8TRACK COMP ** 8-TRACKCOMP/LIM \\ トラックごとに独立したコンプ/リミッター。トラックごとに再生音量のバラつきを抑えることが可能。ミックス向けですね。 ==== エフェクト・パッチの分類 ==== バンクの中で、エフェクト・パッチはさらに以下のように分類されています。 - プリセット・パッチ : 設定変更は可能だが、書き込み不可。 - ユーザー・パッチ : 書き換え可能。本体に記憶される。 - ソング・パッチ : 書き換え可能。曲のデータといっしょにSDカードに保存される。 ===== 接続位置を変える(LOCATION) ===== インサート・エフェクトの接続先を変えることで、録音時に適用(いわゆるかけ録り)したり、ミックス時に適用するなど、さまざまな使用状況に対応することができます。 インサート・エフェクトの接続先は以下のとおり。 - INPUT <NORMAL> - INPUT - TRACK 1~8、1/2、3/4、5/6、7/8、1-4、5-8、1-8 - RHYTHM - MASTER 各接続先の用途は以下のとおり。 ** INPUT <NORMAL> ** 通常はこの状態で使用。インサート・エフェクトを通った音が録音されます。\\ インサート・エフェクトを通った音がモニターできます。 ** INPUT ** インサート・エフェクトを通る前の音(ドライ音)が録音されます。\\ 録音した後で、さまざまなエフェクトを試したり、パラメーターを調整したい場合に使用します。\\ インサート・エフェクトを通った音がモニターできるのはNORMALと同様。 ** TRACK 1~8、1/2、3/4、5/6、7/8、1-4、5-8、1-8 ** ミックス時に使用する場合はこちらを選択。適用するトラックが選択できます。\\ トラックの再生音にインサート・エフェクトをかけます。\\ ドライ音を録音した後でエフェクトを試す場合や、特定のトラックのみにエフェクトをかけたい場合などに。\\ 選択するバンクとの組み合わせによっては、すべてのトラックにエフェクトがかからない場合があるので注意。 ** RHYTHM ** リズムの音にインサート・エフェクトをかけます。 ** MASTER ** マスタリング・エフェクトの直前に接続します。\\ マニュアルには、「マスタリングをするときに音質を調節したり、エフェクトによる特殊効果を得る、といった具合に、全体にエフェクトをかけたい場合に使用します。」とあるので、飛び道具的な使い方、DJ的なエフェクトをかけたい場合などに使いたい設定です。 ===== デモ音源 ===== ここではエフェクトのデモ音源の掲載は、なし。 代わりにローランド公式サイトの以下を参照してください。 [[http://www.roland.co.jp/FrontScene/1007_BR-800/index.html|BR-800 :: FrontScene :: ローランド]] 「sound check」から5種類のギター向けパッチが試聴できます。